仮想通貨(暗号資産)/ビットコインの歴史
仮想通貨の始まりは、2008年10月にサトシ・ナカモトという人物がビットコインに関する論文をインターネット上で公開したことに遡ります。本論文は数多くの研究者/開発者にインスピレーションを与え、公開から3ヶ月後の2009年1月にはビットコインが誕生。2010年2月にはビットコインを両替できる取引所が設立されました。
国内においても、2010年7月にマウントゴックス社が東京都渋谷区においてビットコインの取引所サービスを開始し、2011年以降、ビットコインは世界中で急速に広まりました。2014年にはマウントゴックス社の経営破綻があったものの、ビットコイン以外の仮想通貨であるアルトコインが数多く誕生したこともあって、仮想通貨市場は全体としては拡大基調にありました。
2014年1月には、我が国を代表する仮想通貨取引所の一つであるビットフライヤー社が設立され、仮想通貨が日本でも注目され始めました。2016年2月にはDMM.comでビットコイン決済がスタートし、以降、国内のいくつかの大手企業がビットコイン決済に乗り出しました。その後、2017年の後半にかけて、仮想通貨の価格が急激に高騰したことで、仮想通貨市場は大きな盛り上がりを見せましたが、2018年1月に国内仮想通貨取引所のCoincheckから約580億円相当のNEMが流出した事件(参考:コインチェック事件)をきっかけに、国内のいくつかの取引所に対して業務停止命令や業務改善命令が出されました。
その後、2018年4月に「日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)」が設立されました。2019年以降は、1月に金融庁がコインチェックを仮想通貨交換業者として正式登録したことをきっかけに、楽天ウォレットなどの取引所が新たに仮想通貨交換業者として認可を受けました。
2019年、ビットコイン誕生10周年を迎えたこの年は、既存のテクノロジー企業が仮想通貨を認め、自社の製品やサービスに組み込むことを約束した歴史的な1年となりました。具体的な企業としてはTelegram、Facebookが挙げられます。
新型コロナウイルスが拡大し、波乱の年を迎えた2020年、仮想通貨においてもブラック・サーズデーと呼ばれる暴落が発生し、市場は混乱に陥りました。一方で、大手決済サービスのペイパルが仮想通貨に対応を発表するなど、決済手段としての普及の一歩を着実に歩み始めている。
2017年~2018年にかけて起きた仮想通貨バブルの再来となったのが2021年である。中国が仮想通貨の規制を進めるなどの悪いニュースなどによる下落相場もあったものの1年を通して上昇基調が続いた。
2022年は2021年の上昇相場の反動とロシア・ウクライナ戦争による緊張が高まり下落が続きました。5月のステーブルコインのTerra/LUNAの破綻や、11月には大手海外仮想通貨取引所のFTXが経営破綻するなど、仮想通貨に関連する悪いニュースが続いたことも市場の下落に拍車をかけました。
仮想通貨(暗号資産)/ビットコインのリスク
仮想通貨が抱えるリスクの中で、代表的なものには以下があります。
1 価格変動リスク
仮想通貨は、価格変動(ボラティリティ)が大きいため、需給バランスの変化や、物価、天災地変、戦争、政変、法令・規制の変更、仮想通貨に係る状況の変化、その他予期せぬ事象や特殊な事象等の影響により、価格が乱高下する可能性がある。取引を行う際には、価格変動の大きさを考慮することが重要である。
2 秘密鍵やパスワードの紛失リスク
ウォレットの秘密鍵やパスワードを紛失した場合、保有する仮想通貨に一切アクセスできなくなる可能性があるため、細心の注意が必要である。
3 サイバー攻撃による盗難リスク
サイバー攻撃によって、取引所または自身が保有するPC/スマホから秘密鍵が漏洩した場合、悪意のあるハッカーによって、保有する仮想通貨が盗難されてしまうことがある。
4 取引所の経営破綻リスク
外部環境の変化等によって、仮想通貨取引所が事業を継続できなくなった場合、取引所の体制によっては、取引所に資産を預けている利用者の資産が返還されない場合がある。
5 ネットワーク上のトラブルリスク
仮想通貨の取引は、仮想通貨ネットワーク上で承認されることで完了する。そのため、ネットワーク上で何らかのトラブルが起こり、取引がキャンセルされることもある。
6 システム障害リスク
取引所や使用しているインターネット回線、パソコン等にシステム障害が発生すると、取引ができなくなる等のトラブルが生じる(※ 取引所に責任があることが証明された場合、補償されるケースもある)。
7 51%攻撃のリスク
悪意のあるマイナーによって、ある特定の仮想通貨のハッシュレートの51%が占有された場合、不正な取引が行われるリスクがある(※ ただし、コンセンサスアルゴリズムとして、PoW以外を採用している場合はこの限りではない)。
8 法令・税制の変更リスク
国内の仮想通貨に係る取り扱いについて、法令や税制が変更される場合がある。それに伴い、仮想通貨価格の下落、取引の停止、税負担の増加といった問題が発生する可能性がある。
9 詐欺被害に遭うリスク
仮想通貨を取引する上で、情報を精査しなければ様々な詐欺被害に遭う可能性も考えられる。具体的には、メールなどを利用して、偽サイトにウォレットに関する情報を入力させて仮想通貨を盗む手口や、必ず儲かるなどと謳い、実体のないプロジェクトである特定の仮想通貨に投資をさせるなどの詐欺行為がケースとして存在する。
10 誤送金による消失リスク
仮想通貨を送金するとき、誤ったアドレスに送信してしまうと仮想通貨が消滅するリスクがある。誤ったアドレスが存在するものであれば、送金した仮想通貨は別の人のウォレットに入金されることになる。消滅した仮想通貨や、別のウォレットに送信した仮想通貨を取り戻すことは難しい。
11 無価値になるリスク
仮想通貨の信用性が失われる重大な事態が発生すると、暴落した結果、ほとんど無価値になるリスクがある。仮想通貨プロジェクトは数多くの種類があり、今後も新たに展開していくことが予想されるが、そのなかには価値を失ってしまう通貨も一定数あると考えられる。
仮想通貨(暗号資産)/ビットコインのリスクを軽減する方法
仮想通貨にはリスクも多いが、保有・投資するメリットがある。仮想通貨に限らず投資をするなら、できる限りリスクを軽減することが重要になる。その方法について紹介する。
少額から長期を前提に始める
仮想通貨に投資する場合は、まずは少額から始めることが、価格変動などのさまざまなリスクの軽減につながる。加えて、投資のスタンスは短期よりも長期であるほうが安定しやすい。
なぜなら、将来性の高い仮想通貨であっても短期間であれば、市況によって大きく乱高下するリスクがあるからだ。仮想通貨の価格はさまざまな理由で上下することから短期的な価格の変動を読むことは難しい。少額かつ長期でできる限りリスクを抑えて投資することがリスクの軽減につながる。
銘柄選びは慎重に
仮想通貨投資は、投資する銘柄の選び方で成果は大きく変わってしまう。将来性の高い仮想通貨を選ぶことができれば、長期保有における成果を高めることができるだろう。また、同じ仮想通貨であってもリスクの大小が存在する。
例えば、仮想通貨を代表するビットコインは、他の仮想通貨と比較して唐突に無価値になることは考えにくい通貨である。アルトコインでも、イーサリアムやリップルなど知名度の高いものであれば全体におけるリスクが低い。
特に気をつける必要があるのはアルトコインのなかでも「草コイン」と呼ばれる、時価総額や価格が低く、投機性の高い通貨である。草コインは上昇したときには高い利益が期待できる反面、無価値になるリスクも高いので、リスクを避けるなら購入しないことを推奨する。
取引所の選択も重要
仮想通貨を購入するなら取引所の選択も重要だ。サイバー攻撃による盗難リスクや、システム障害のリスクもあるので、取引所を選ぶなら取扱通貨の幅広さだけでなく、取引所ごとのセキュリティ対策の盤石さも含めて検討する必要がある。取引所の口座を開設するなら、国内取引所、海外取引所、DEX(分散型取引所)の3種類が挙げられる。
国内取引所と海外取引所では、海外のほうが、銘柄の選択肢が広く、レバレッジもかけやすいので取引の自由度が高いが、投資家保護が行き届いていない場合もあるので、CoinDesk Japanでは、金融庁に認可された国内の仮想通貨取引所で暗号資産を購入することを推奨している。
DEX(分散型取引所)はウォレットを自身で管理して取引することから、取引所のセキュリティ対策に依存せずに取引できるが、ユーザーサポートがないため、仮想通貨を初めて取引する人が利用するのは難しいという欠点がある。
毎日の情報収集を欠かさない
仮想通貨を積極的に購入して投資を続ける場合は、毎日の情報収集を欠かさないことが必要不可欠である。価格変動はさまざまな要因で発生するため、今後の相場の変動を考える上では情報を多く収集する必要がある。情報を収集しなかったことによって、知らなかったがために損をしてしまうことを考えると、投資の頻度が多くなるほど情報収集をすることがリスクの軽減につながる。
国内における主な仮想通貨取引所/販売所
2023年1月末現在において、国内には30社を超える仮想通貨交換業者が存在する。具体的には、以下の通り。
- 株式会社マネーパートナーズ
- FTX Japan株式会社
- 株式会社bitFlyer(bitFlyerを運営)
- ビットバンク株式会社(bitbankを運営)
- GMOコイン株式会社(GMOコインを運営)
- フォビジャパン株式会社(Huobi Japanを運営)
- BTCボックス株式会社(BTCボックスを運営)
- 株式会社ビットポイントジャパン(BITPointを運営)
- 株式会社DMM Bitcoin(DMM Bitcoinを運営)
- SBI VCトレード株式会社(SBI VC Tradeを運営)
- Himalaya Japan株式会社
- COINHUB株式会社
- コインチェック株式会社(Coincheckを運営)
- 楽天ウォレット株式会社(楽天ウォレットを運営)
- Amber Japan株式会社
- LINE Xenesis株式会社(LINE BITMAXを運営)
- エクシア・デジタル・アセット株式会社
- FXcoin株式会社
- オーケーコイン・ジャパン株式会社
- Payward Asia株式会社
- CoinBest株式会社
- 株式会社デジタルアセットマーケッツ
- 株式会社マーキュリー
- 株式会社coinbook
- 東京ハッシュ株式会社
- Coinbase株式会社
- 株式会社Crypto Garage
- 株式会社メルコイン
- 株式会社サクラエクスチェンジビットコイン
- 株式会社カイカエクスチェンジ
- 株式会社ガイア
仮想通貨(暗号資産)の事例
主な仮想通貨の事例を下記に整理する。
1. BTC(ビットコイン)
- 開始日: 2009年1月3日
- 運営者: Bitcoin Foundation
- 通貨単位: BTC
- 発行上限: 2100万BTC
- 公式サイト: https://bitcoin.org/en/
2. ETH(イーサリアム)
- 開始日: 2015年8月7日
- 運営者: イーサリアム財団
- 通貨単位: ETH
- 発行上限: なし
- 公式サイト: https://www.ethereum.org/
3. XRP(リップル)
- 開始日: 2013年8月5日
- 運営者: Ripple Inc.
- 通貨単位: XRP
- 発行上限: 1000億XRP
- 公式サイト: https://ripple.com/
- 4 BCH(ビットコインキャッシュ) 開始日 2017年8月1日 運営者 なし 通貨単位 BCH 発行上限 2100万BCH 公式サイト https://www.bitcoincash.org/
- 5 EOS(イオス) 開始日 2017年6月26日 運営者 block.one社 通貨単位 EOS 発行上限 10億枚 公式サイト https://eos.io/
- 6 Stellar(ステラ) 開始日 2014年7月 運営者 Stellar Development Foundation 通貨単位 XLM 発行上限 1000億枚+年1%増加 公式サイト https://www.stellar.org/
- 7 LTC(ライトコイン) 開始日 2011年10月7日 運営者 Litecoin Foundation 通貨単位 LTC 発行上限 8400万LTC 公式サイト https://litecoin.org/
- 8 Tether(テザー) 開始日 2015年2月年 運営者 Tether社 通貨単位 USDT 発行上限 無制限 公式サイト https://tether.to/
- 9 XLM(ステラルーメン) 開始日 2014年7月 運営者 ステラ開発財団 通貨単位 XLM 発行上限 1,000億枚+年1%増加 公式サイト https://www.stellar.org/
- 10 DOT(ポルカドット) 開始日 2017年10月 運営者 なし 通貨単位 DOT 発行上限 1,070,000,000 公式サイト https://polkadot.network/
- 11 ADA(カルダノ) 開始日 2016年10月 運営者 なし 通貨単位 ADA 発行上限 450億枚 公式サイト https://cardano.org/
- 12 BNB(バイナンスコイン) 開始日 2016年10月 運営者 Binance 通貨単位 BNB 発行上限 200,000,000 公式サイト https://www.binance.com/ja