こんにちは、レクサスファンの皆さん。今回は、レクサスのフラッグシップクーペ「LC」の一部改良と、その中でも特に注目すべき限定60台の特別仕様車「LC500 EDGE(エッジ)」についてお話ししたいと思います。実は、私は先日、EDGEの試乗会に参加する機会がありましたので、その感想もお伝えします。
LCの進化と熟成の集大成、EDGEとは?
まず、LCというモデルについて少し振り返ってみましょう。LCは2017年に登場したレクサスの最高級クーペで、レクサスの新しい走りの方向性を示したモデルです。レクサスは以前から「走りがつまらない」という批判を受けていましたが、LCはそのイメージを一新するために、すべてを刷新して開発されました。その結果、レクサスの走りは大きく変わったのです。
LCはデビュー後も、走りの進化と熟成を続けてきました。2023年の大幅改良では、ベースモデルのLC500(5リッターV8エンジン搭載)にも、エンジンマウントやサスペンションメンバー、ホイールボルトなどの変更が加えられ、ボディ剛性が高められました。また、サスペンションの再セットアップや、ランフラットタイヤからノーマルタイヤ(ミシュラン「パイロットスポーツS5」)への変更も行われました。これらの改良は、レクサスが自社のテストコースである“Toyota Technical Center Shimoyama”で走り込んだフィードバックや、「味磨き活動」と呼ばれる走りのブラッシュアップの成果です。
そして、その最新モデルをベースにしたのが、限定60台の特別仕様車「LC500 EDGE」です。EDGEは、単なる特別仕様車ではなく、走りの「切れ味」や「鋭さ」をより高めることを目指したモデルです。そのために、少量生産で手間のかかる専用アイテムが多数投入されています。
エクステリア
エクステリアでは、専用のボディカラーとなるマットホワイト(HAKUGIN)に加えて、フロントには世界初の樹脂成型技術を採用したバンパー一体型のカナード、リアには航空機の空力技術を応用した形状を採用した固定式(CFRP製)ウイングが装備されています。これらのアイテムは、空気抵抗の低減と車両安定性の確保に寄与する機能部品です。
インテリア
インテリアでは、デザイン変更はありませんが、カラーリングに専用のコーディネートとなるブルー(KACHIIRO)が採用されています。この色は、レクサスがエアレースのパイロット室屋義秀選手と共に立ち上げた「LEXUS PATHFINDER AIR RACING」のレース機にも使われている色で、レクサスの走りへの想いが込められた特別な色です。
走りの部分
走りの部分では、一番のポイントは、アルミ中空構造のリアサスペンションメンバーの採用です。これは、重量は通常品(スチール板金製)とほぼ同じですが、剛性は約2倍になっています。また、入力が大きい部分は環状構造に変更されて変形しにくくなっており、ブッシュを介さずに直接ボディと接合されています。これにより、リア周りの剛性アップと理想的なサスペンションストロークを実現しています。ただし、それだけではリアが勝ち過ぎてしまうため、フロントに床下ブレース(コンバーチブル用を活用)を追加して前後のバランスを整えています。
もちろん、これらの変更に合わせて、サスペンションにも専用チューニングが施されており、より軽量仕様の鍛造アルミホイール(スプリット5本スポーク)も装着されています。
パワートレインやドライブトレインにも、ひと手間加えられています。5リッターV8エンジンは、ムービングパーツの質量合わせやシリンダー径をミクロン単位でつくり込み、リアデファレンシャルは熟練技術者が手作業でバックラッシュを再調整するなど、高精度チューニングが行われています。これらは、スペック上の変更はありませんが、開発メンバーは「違いは明らか」と自信を見せています。
EDGEの走りを公道で体感
さて、そんなEDGEの走りは、実際にどうなのでしょうか?私は先日、EDGEの試乗会に参加する機会がありましたので、その感想をお伝えします。
まず、私が感じたのは、「ラグジュアリーのスポーツから、スポーツのラグジュアリーに変わった」ということです。つまり、LCはもともと高級感と快適性を備えたスポーツカーでしたが、EDGEはそれに加えて、軽快さと鋭さを持ったスポーツカーになったということです。
具体的には、以下のような点が印象的でした。
- 車両重量が1930kgとノーマルと同じなのに、LCよりひと回り小さな「RC F パフォーマンスパッケージ」(車両重量1720kg)よりも小さく軽いクルマに乗っている感覚がある。最新のスポーツモデルに乗ると「車両重量を感じさせない身のこなし」に感心するが、EDGEもそれと同じ印象だ。
- コーナリング時のクルマの動きが「切れ味」や「鋭さ」ではなく、「素直」かつ「スッキリ」に感じる。この感覚は、ノーマルモデルに採用されたエンジンマウントやホイールボルトなどの変更により、ボディ剛性が高められたことに加えて、EDGEの専用アイテムによりボディ前後の剛性バランスや力の流れが変わったことで、静的ではなく動的な重量バランスが整い走行中に4つのタイヤに荷重を効率的かつ上手に分配できるようになった結果だと思います。最新のレクサス車は“The Natural”の走りを目指していますが、EGDEでもそれが再現されています。
レクサスの公式サイトでは、EDGEの特別仕様車の詳細や、一部改良を受けたベースモデルのLC500の情報も紹介されています。残念ながら、EDGEの限定60台はすでに完売してしまいましたが、ベースモデルのLC500も素晴らしい走りを楽しめるクルマです。ぜひ、お近くのレクサス店で試乗してみてください。