2024年に米国はリセッション入りを回避し、S&P500種株価指数は過去最高値を更新
2024年、米国はリセッション(景気後退)入りを回避し、S&P500種株価指数は過去最高値を更新する見込みです。しかし、消費低迷の背景にあるため、同指数の上昇率は今年の20%を下回るとの予測が最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)」調査で示されました。
調査によれば、来年のS&P500種は2022年1月に付けた終値ベースの最高値4797ポイントを上回り、4808に上昇する見通しです。10年物米国債利回りは3.8%と、今年の高水準である5%から低下が見込まれます。
回答者の3分の2余りが、市場にとって最大のリスクは経済のハードランディングではないとの見方を示唆し、過半数は米利下げが来年7月より前に始まると想定しています。ウィズダムツリーのマクロ経済調査ディレクター、アニーカ・グプタ氏は「米国例外主義はなお健在だ。主な原動力は、中国や欧州より良好な経済情勢や企業利益予想の改善、均等加重したS&P500種の割安なバリュエーションだ」と指摘しました。
しかし、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は、ここ数カ月の利回り低下は確かに株価上昇を促したが、利回りが来年さらに低下して3%近くになれば、景気鈍化を示唆し、株価の足かせになるだろうとの見方を示しました。実際、調査参加者の約33%は、来年の株高に対する最大のリスクは消費の息切れだと答えています。
またS&P500種に関する予想中央値は終値としては過去最高値となりますが、足元の水準からの上昇率は約4%に過ぎません。ブルームバーグのデータによれば、予想される上昇率はS&P500種が上昇した年の平均19%を大きく下回る水準だとされています。また、取引時間中の過去最高値4819にも届かないとのことです。
欧州のデジタル資産運用会社マネーファームのリチャード・フラックス最高投資責任者(CIO)は「利下げの可能性と株式市場との間には若干の緊張がある」とし、「現時点で成長減速と幾分の業績下方修正があるシナリオに傾いており、24年の株式にやや慎重になっている」と分析しました。
ゴールドマン・サックスのストラテジストにとって、理想的なアプローチは株式投資を継続し、ボラティリティーが高い時期に売りたい気持ちを抑えることだとされています。調査参加者はそうした助言に沿った行動を予定しており、26%が今後1カ月に株式保有を増やすと回答しています。この質問は22年8月に開始したが、その回答の平均を上回っているとのことです。
米国は逃避先としての魅力も維持する方向で、回答者の43%は24年も米国株は海外の株式をアウトパフォームするだろうと答えました。S&P500種は過去10年のうち8年で世界株を上回る上昇を記録しており、これは通常通りだとのことです。
調査では来年最も割安な株式に関する質問に対し、大中華圏以外の新興市場を挙げる回答者が圧倒的に多かったです。香港株の指標であるハンセン指数は今年、記録的な4年連続の下落となる方向ですが、来年も低迷は続きそうです。一方、金は約5%の上昇が予想されているとのことです。