FRB、近いうちの利下げ期待には冷水浴びせる構え-FOMC決定へ
米金融当局は13日まで2日間の日程で開く連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、3回連続の金利据え置きを決める公算が大きい。一方、来年3月にも利下げに踏み切るとの市場の期待には冷水を浴びせると見込まれる。
FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%と、22年ぶりの高水準に据え置く見通し。米東部時間午後2時(日本時間14日午前4時)に声明と四半期経済予測が公表され、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が2時半から記者会見する予定。
パウエル議長は、金融当局としていつ利下げを開始するか臆測するには時期尚早だと述べている。当局者はむしろ、利上げを休止してこれまでの金融引き締めが経済に及ぼす効果を評価したい考えを強調している。
スティーフル・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、リンゼー・ピエグザ氏は金融当局について、「『拙速な緩和はない』というのがメッセージの趣旨となるだろう」と指摘。当局はこれまでもインフレ鈍化の進展で期待を裏切られてきたとし、「前進はあったが、さらなる前進が必要だ」と語った。
四半期経済予測の金利予測分布図(ドット・プロット)では、当局者が2024、25両年にどの程度の利下げを予想しているかが示されると見込まれ、ウォール街の注目が集まりそうだ。
ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査では、中央値で24年に2回、25年は5回の利下げ見通しが示されると見込まれているものの、不透明感も強い。FRBウオッチャーの一部は24年に計1ポイントの利下げ見通しを予想する一方、他のウオッチャーは同年の利下げ見通しをゼロと想定している。
FOMC参加者はインフレ予想も修正する可能性がある。23年の個人消費支出(PCE)総合価格指数の上昇率予想は3.1%と、9月の前回予測の3.3%から下方修正され、変動の大きいエネルギーと食品を除くコア指数の上昇率予想も3.5%と、前回予測の3.7%から下方修正されるとエコノミストは見込んでいる。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏は「2回連続の金利据え置きは一時休止と見なすことができるが、3回連続となれば引き締めサイクルの終了を意味すると考えられる。来年の利下げ開始の条件について、当局者は検討に入るだろう」との分析を示した。
このほか、7-9月(第3四半期)の実質GDP(国内総生産)の非常に力強い伸びを受け、FOMC参加者は23年のGDP伸び率見通しを上方修正する一方、24年についてはほとんど修正を加えないだろうと、エコノミストはみている。
エコノミストの約4分の3はFOMC声明に関し、もう1回の追加利上げの可能性を選択肢に残した現行のガイダンスを維持すると見込んでいる。一方、7月の利上げでFF金利の誘導目標がピークに達した可能性を反映する形で、FOMCが声明を調整すると、25%近くのエコノミストが考えている。
ヒュー・ジョンソン・エコノミクス会長のヒュー・ジョンソン氏は「声明の修正は最小限になるだろう」と予想。「当局者は差し迫った利下げの計画はないと強調する公算が大きい」とし、変更はデータ次第だとするだろうとコメントした。
パウエル議長はFOMC会合後の記者会見で、金融緩和の時期について臆測するのは時期尚早だと、今月1日にアトランタのスペルマン大学のイベントで示した見解を繰り返す公算が大きい。
FOMCの中でもタカ派の急先鋒の1人であるウォラーFRB理事は、インフレ鈍化傾向が続けば利下げ検討する用意があると認めており、これに同意するかどうかも議長は記者団の質問を受ける可能性がある。最近の米国債利回りの急低下など金融情勢を巡る見解についての問いも想定される。
ウルフ・リサーチのチーフエコノミスト、ステファニー・ロス氏は「パウエル議長は幾分タカ派的トーンを維持すると予想される。議長はウォラー理事らほどにはトーンを変えておらず、金融情勢は過去数週間に著しく緩和した」と指摘した。