エムポックスは、アフリカに生息するリスやサルなどの動物からヒトに感染するウイルス性の感染症です。発熱や発疹などの症状が現れ、重症化すると死亡することもあります。1
2022年5月以降、欧米を中心に、エムポックスの流行国への渡航歴のない患者が多数報告されました。この流行は、性的接触による感染が主な原因と考えられています。2
日本では、2022年7月に初めてエムポックスの患者が確認され、2023年10月時点で227例の感染が報告されています。3
2023年11月、埼玉県の30代男性がエムポックスに感染し、病院で治療を受けていましたが、エイズウイルス（HIV）にも感染していたことが判明し、同月に死亡しました。4 これは、日本でエムポックスによる初めての死亡例です。
エムポックスは、感染者の皮膚の病変や体液、血液との接触や、患者との接近した対面での飛沫への長時間の曝露により感染する可能性があります。1 また、免疫不全の状態にある人は、感染や重症化のリスクが高くなります。5
エムポックスの予防には、感染者や感染の疑いのある動物との接触を避けることや、性的接触の際にはコンドームの使用などが重要です。6 また、天然痘ワクチンによって約85%の発症予防効果があるとされています。1
エムポックスに類似する発疹などの症状がある場合は、速やかに医療機関に相談してください。 エムポックスは誰にでも感染するリスクのある感染症ですが、感染者や特定の集団に対する差別や偏見は、人権の侵害につながります。 客観的な情報に基づき、先入観を排した判断と行動が求められます。
エムポックスについての詳しい情報は、厚生労働省や国立感染症研究所のウェブサイトをご覧ください。
