メルカリが「ビットコインで買い物」サービスを2024年に開始 ─ デジタルが行き交う次のメルカリ構想【2024年始特集】

巨大マーケットプレイス「メルカリ」を運営するメルカリが、2024年にはビットコインを利用したマーケットプレイスでの買い物サービスを開始する計画を進めています。メルカリの子会社であるメルコインの最高経営責任者（CEO）である中村奎太氏がインタビューで明らかにしました。

ビットコイン取引サービスは2023年3月に始まり、わずか7カ月でユーザー数が100万人を超え、国内の暗号資産口座数は約135万口座増加しています。中村氏によれば、ビットコインを売却した後にメルカリで買い物をするユーザーも約半数いるとのことで、このニーズに応える形での新サービスが立ち上がります。

このサービスは、オンチェーン取引ではなく、ユーザーがメルカリで保有しているビットコインを使用して商品を購入する際に、ビットコインが売却され、その売却額が売り手に支払われる仕組みとなります。

「サトシ・ナカモトが考案したビットコインという『電子通貨システム』の原点に立ち返り、これだけ多くの人がビットコインを持っている状態になったからこそ、次は実際に（通貨として）利用してもらいたい。利用することで、人はビットコインに対する理解を深めることができるのではないでしょうか」と中村氏は説明しています。

メルカリはマーケットプレイス「メルカリ」を軸に、スマートフォン決済サービス「メルペイ」やブロックチェーン・ビットコイン関連のサービスを展開し、次なる進化を遂げる考えです。

次世代の「メルカリ」では、デジタルアセットが売買されるマーケットプレイスとして、メタバースやWeb3ゲームの進化に伴い、トークン化されたアイテムの取引が増えることが期待されます。また、中村氏は「RWAのトークン化」にも着目し、将来的にはブロックチェーン上でトークン化された現実世界の資産を「メルカリ」上で扱う可能性を示唆しています。

これにより、物質的なモノだけでなく、デジタルアイテムやデジタルコンテンツも取引の対象となり、メルカリは一気にグローバルマーケットプレイスに進化する可能性があります。

「結局、そういう世界になれば、異なる複数の法定通貨で決済するより、P2P（ピアツーピア）でビットコインのような暗号資産でやるべきという考えが生まれてくるのは自然だし、それがインターネットの次のステップになるだろうと思う」と中村氏は話しています。

アフリカと中東、Web3の波に乗る ─ メルカリが新たな可能性を探る

「クリプト・ブーム」と呼ばれた過去数年間、暗号資産やNFTプロジェクト、DAO（分散型自律組織）を運営する組織ですら、トークンの価格を吊り上げ、利益を追及する投機的な動きが目立ちました。しかし、多くのトークンがその後価値を失いました。

メルカリの中村奎太氏は、「徐々に、本質的で、意味のあるデジタルコンテンツ（トークン）が生まれてくるだろうと思う」と述べ、「僕の中では、もっと本質的で、そのNFTが持つユーティリティの意味が伝わるコンテンツを『メルカリ』で取り扱っていきたいと考えてます」。

2023年、暗号資産やブロックチェーン領域に投資する多くの投資家やベンチャーキャピタリストは、中東やアフリカ市場に注目しています。この動きに対して中村氏は、「クリプトやWeb3の波が中東の方に動いたりしていて、僕たちも少しアプローチを考えないといけない」とコメントしました。

中村氏は、「メルカリは2023年の2月で10周年を迎え、新たにグループミッション『あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる』を策定しました。デジタルマーケットプレイスという『メルカリ』のベースラインが出来上がってくれば、あとは世界中に眠っている価値とそこにある可能性を追い求める世界の旅が始まってくるのかなと思うんです」と展望を述べました。

中東やアフリカの市場で未だ発掘されていない価値や可能性が眠っているとし、メルカリがその探求の一環として新たな進化を遂げることが期待されます。

中村氏は、愛知県の大学でAIやネゴシエーションAI、コンセンサスアルゴリズムの研究を経て、メルカリに新卒入社。お金でお金を生む仕組みではなく、価値の純粋な伝達・取引により、あらゆる人の可能性を広げるマーケットプレイスの開発を目指しています。