「ドウデュースが敗れるとすれば…」武豊騎手も抱く一抹の不安? 東大卒予想家が有馬記念を徹底分析
年末が近づき、寒さが本格化するこの時期、競馬ファンにとって熱く盛り上がるのが「有馬記念」。今年も中山競馬場で開催されるグランプリレースには、22頭が登録。その中から出走できる16頭には、10頭ものG1ウイナーが名を連ねている。
競馬ファンにとって、有馬記念は一年を締めくくる特別な一戦だ。筆者にとっても、このレースは負けを取り返すラストチャンス。今回は競馬ライターの鈴木ユウヤ氏に今年の見解をうかがった。
鈴木氏は2020年に東京大学を卒業後、競馬ライターとして独立。データを駆使し、鋭い分析で高い回収率を誇る“東大の頭脳”だ。今年のJRA・G1における回収率は驚異の141%。そんな鈴木氏の有馬記念予想とは?
データが語る有馬記念の傾向
「有馬記念は基本的に荒れにくいレースです。過去10年の成績では、単勝オッズ10倍未満の馬が『9-5-8-20』と好成績を残しています。20倍以上の大穴馬になると、成績は『0-4-1-93』まで落ち込むので、大穴狙いはあまり得策ではありません」(鈴木氏)
鈴木氏によれば、過去10年で最も荒れたのは2015年のゴールドアクターが勝利したレース。それでも三連単の配当は12万円程度と、他のG1に比べても平穏だという。
今年の注目馬「ドウデュース」
「ドウデュースが勝つ可能性は非常に高いです。単勝1倍台の支持を集めるでしょう。過去には同年の天皇賞(秋)→ジャパンCを連勝した馬の成績が良く、ドウデュースもそのパターンに該当します。ただし、雨や重馬場には不安が残ります。今年の宝塚記念や凱旋門賞では渋った馬場で結果を出せなかった点が唯一の懸念材料ですね」(鈴木氏)
さらに、鞍上の武豊騎手についても興味深いデータが。「武騎手は有馬記念で1~4枠に入ると『4-7-2-10』と好成績ですが、5~8枠になると『0-1-0-9』と極端に振るわない傾向があります。内枠を引けば、ドウデュースの勝利はますます盤石になるでしょう」(鈴木氏)
対抗馬や不気味な存在
鈴木氏はドウデュースに次ぐ注目馬として、ダノンデサイルとベラジオオペラを挙げる。
「ドウデュースが敗れるとすれば、先行馬がインを立ち回りながらロスなく競馬をした場合です。特にダノンデサイルは菊花賞で良い競馬をしており、今回もダービーと同じような位置取りができれば一発が期待できる存在です」(鈴木氏)
さらに、菊花賞馬アーバンシックも侮れないと語る。「ルメール騎手は有馬記念で高い成績を残しており、アーバンシックの機動力も春より向上しています。位置取り次第ではドウデュースを脅かす可能性があります」(鈴木氏)
枠順がカギを握る
「中山競馬場の2500mは最初のコーナーまでが短く、内枠が有利です。逃げ馬や先行馬がロスなくポジションを取れるので、ダノンデサイルやベラジオオペラにとって内目の枠順が重要です」(鈴木氏)
今年の有馬記念は、ドウデュースを軸としながら、ダノンデサイル、ベラジオオペラ、アーバンシックを絡めた買い目が有力と鈴木氏は語る。
果たして筆者は“東大の頭脳”を頼りに有馬記念を制することができるのか。その結果は、土曜日に発表する予定だ。
鈴木氏の予想スタイル
鈴木氏の予想は、過去10年のデータを徹底的に分析し、軸となる2頭をピックアップ。その上で単勝とワイド(場合によっては馬連)でシンプルに勝負するスタイルだ。今年もその戦法で大きな的中を収めており、「エルトンバローズ(7番人気)とソウルラッシュ(4番人気)」のワンツーを本線的中させたマイルCSが好例だ。
有馬記念の傾向と攻略法
「有馬記念は荒れるレースではありません」と鈴木氏は断言する。過去10年のデータを見ると、単勝オッズ10倍未満の馬が『9-5-8-20』と圧倒的な成績を残しており、単勝10倍以上の馬が勝つケースは少ないという。
複勝回収率でも単勝10倍未満の馬が103%と安定している一方、20倍以上の大穴馬では25%と一気に下がるため、大穴狙いは非効率的だという。
「基本的には人気馬がそのまま結果を出すレース。よほどの理由がない限り、実力上位馬に絞って厚く買うのが有効です」と語る。
本命候補はやはりドウデュース
今年の有馬記念では、ドウデュースが最有力候補に挙げられる。ジャパンCを制し、武豊騎手が騎乗予定のこの馬に死角はないのだろうか?
「データ上、ジャパンCを勝った馬がそのまま有馬記念でも好成績を残すとは限りませんが、天皇賞(秋)→ジャパンCを連勝した馬に限れば非常に高い確率で結果を出しています」と鈴木氏。過去の例では、テイエムオペラオーやゼンノロブロイが連勝を果たし、スペシャルウィークもわずかの差で2着だったという。
唯一の不安材料は「道悪」
「唯一の懸念材料は馬場状態です。良馬場なら全幅の信頼を置けますが、雨が降って馬場が渋れば話は別です」と鈴木氏。過去には重馬場の宝塚記念で末脚不発に終わり、凱旋門賞でも惨敗を喫している。「良馬場で内枠を引ければドウデュースは安泰でしょう」との見解だ。
また、武豊騎手の有馬記念での成績も興味深い。内枠(1~4枠)では『4-7-2-10』という好成績を残しているが、外枠(5~8枠)では『0-1-0-9』と極端な傾向があるという。
注目すべき他の馬たち
ドウデュース以外で注目すべきは、先行勢だ。今年の有馬記念は逃げ馬が不在でスローペースになる可能性が高く、前に行く馬が有利になると鈴木氏は分析している。その中でも、ベラジオオペラとダノンデサイルが有力候補だという。
「特にダノンデサイルは前走の菊花賞で良い内容の競馬をしており、今回もインコースでロスなく立ち回れば好走が期待できます」と鈴木氏。また、菊花賞馬アーバンシックもルメール騎手の手腕で台頭する可能性があるとのことだ。
最終的な買い目は?
「内枠を引いたドウデュースを軸に、ダノンデサイルやアーバンシックを絡めた買い方が現実的です。あとは枠順発表を待ち、細かい条件を精査していきたいですね」と鈴木氏。
有馬記念は人気馬が強い結果を残しやすい一方で、先行勢の展開次第で波乱の余地も残されている。今年のグランプリを制するのは果たしてどの馬か。鈴木氏の見解を参考に、最終的な馬券戦略を練るのが良さそうだ。