大相撲九州場所:学生横綱出身・阿武剋の初土俵が黒星デビュー
大相撲九州場所の初日(11月12日)に、昨年の学生横綱で幕下15枚目格付け出しとして初土俵を踏んだ阿武剋(おうのかつ、23=阿武松部屋)は、黒星デビューとなりました。琴太豪(30=佐渡ケ嶽部屋)に寄り切られて敗れ、新十両最速記録に並ぶ可能性を消滅させました。
阿武剋は、モンゴルのウブス県出身で、本名はバトジャルガル・チョイジルスレン。日本体育大学相撲部に所属していた際には、昨年の全日本相撲選手権大会で優勝し、学生横綱の称号を獲得しました。その実力を買われて、今年の春場所前に阿武松部屋に入門し、幕下15枚目格付け出しという特待の待遇を受けました。
幕下15枚目格付け出しというのは、大相撲の番付で最も下の序ノ口からではなく、幕下の15枚目からスタートするということである。これは、大相撲に入る前に相撲経験のある者に与えられる特別な制度である。幕下15枚目格付け出しの力士は、初めての場所で7勝すれば、次の場所で新十両に昇進することができる。これは、新十両最速記録に並ぶ快挙である。
しかし、阿武剋は、そのチャンスを初日で逃してしまった。立ち合いから動きが硬く、相手の上手を引かれると、粘りも及ばずに寄り切られた。阿武剋は、試合後に「言葉には表せないでしょうけど、緊張感が違った」と振り返った。初土俵を踏んだ感想については、「感動というか、うれしさというか、そういうのはなかったですね。ただ、やっとここまで来たという感じでした」と語った。
阿武剋は、幕下15枚目格付け出しとして初土俵を踏んだ“最後”の力士である。これは、来年の春場所から、幕下15枚目格付け出しの制度が廃止されることに伴うものである。これからは、幕下15枚目格付け出しの力士は、初めての場所で4勝以上しなければ、次の場所で序二段に降格することになる。つまり、阿武剋は、幕下15枚目格付け出しの特権を享受できる最後の一人である。
阿武剋は、その特権を生かして、新十両最速記録に並ぶことはできなかったが、まだ場所は始まったばかりである。残りの6日間で、どれだけの勝ち星を挙げることができるかが、今後の番付に大きく影響するでしょう。阿武剋は、自分の目標について、「とにかく、自分の相撲を取ることです。それができれば、結果はついてくると思います」と述べました。阿武剋の初場所の活躍に、期待したい。