オープンAIのアルトマン氏がCEO復帰へ、マイクロソフトなど主要株主が要求
米人工知能(AI)研究機関のオープンAIは、サム・アルトマン氏がCEOに復帰することを発表した。アルトマン氏は2023年11月に同社を退社していたが、マイクロソフトやイーロン・マスク氏など同社の主要株主からの要求に応えて再び指揮を執ることになった。
アルトマン氏はオープンAIの共同創設者であり、2019年から2023年までCEOを務めていた。彼は人間並みの知能を持つコンピューターソフトウェア「汎用人工知能(AGI)」を創造するビジョンを掲げ、対話型AI「ChatGPT」などの画期的な技術を開発した。しかし、同社は巨額の資金を必要とするため、マイクロソフトなどからの出資を受けることになり、その条件として同社の株式の一部を譲渡した。これにより、オープンAIは非営利から「capped-profit」型の研究企業に変わった。
アルトマン氏は2023年11月にオープンAIを退社し、新たな仮想通貨プロジェクト「Worldcoin」に専念すると発表した。Worldcoinは地球上の全人類に対して、虹彩認識を使って無料で仮想通貨を提供することを目指していたが、技術的な問題や規制の壁にぶつかり、多くの国で事業を停止せざるを得なかった。
一方、オープンAIはアルトマン氏の退社後もAGIの開発を続けていたが、その進捗は遅れていたという。同社の主要株主であるマイクロソフトやイーロン・マスク氏は、アルトマン氏の復帰を強く求めていたとされる。彼らはアルトマン氏がオープンAIのビジョンと技術に不可欠な存在であると考えていたという。
オープンAIは2023年12月1日に公式ブログで、アルトマン氏がCEOに復帰することを発表した。同社は「アルトマン氏はオープンAIの創設者であり、AGIの実現に向けて情熱と才能を持っている。彼のリーダーシップのもとで、オープンAIはAIの可能性を探求し、人類にとって有益で安全なAIを開発することに専念する」と述べた。
アルトマン氏はブログで「オープンAIは私の人生の中で最も重要なプロジェクトであり、CEOとして復帰することを光栄に思う。私はオープンAIのミッションとチームに深く信頼と敬意を持っている。私はAGIの開発に全力を尽くすとともに、オープンAIの株主やパートナーと協力して、AIの利益を全人類に分配することを目指す」と語った。
アルトマン氏のCEO復帰は、オープンAIの株主やパートナーから歓迎された。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは「アルトマン氏はAIの革新者であり、オープンAIのCEOとして素晴らしい仕事をしてきた。マイクロソフトはオープンAIとのパートナーシップを継続し、AGIの開発に貢献する」とコメントした。イーロン・マスク氏はツイッターで「アルトマン氏はオープンAIの魂であり、彼の復帰はAIの未来にとって大きな意味がある。オープンAIはAGIの開発において世界をリードする存在であり、その責任を果たすためにはアルトマン氏のビジョンと才能が必要だ」と投稿した。
オープンAIはアルトマン氏のCEO復帰に伴い、マイクロソフトなどからの追加の資金支援を確保する計画を立てている。同社はAGIの開発には膨大なコンピューティングリソースが必要であり、そのためにはさらなる投資が必要だと説明した。「マイクロソフトや他の株主からの支援は、オープンAIの独立性と非営利性を損なうことなく、AGIの開発を加速させることができる。私たちはAGIの開発において、最高の技術と最高の倫理を追求することにコミットしている」と述べた。
オープンAIは、人類にとって有益で安全なAIを開発することを目指す非営利の研究機関である。同社は2015年にアルトマン氏やイーロン・マスク氏などの起業家や研究者によって設立された。同社はAIのリスクを減らし、AIの利益を全人類に分配することを目標としており、対話型AI「ChatGPT」や画像生成AI「DALL-E」などの先進的な技術を開発しており、AIの研究界において高い評価を得ている。