アメリカのウクライナ支援と砲弾供与の減少
アメリカがウクライナに供与する砲弾の量が、3割以上減らされることになったと、米メディアが報じています。これは、アメリカ国内での兵器製造が追いつかないことや、クラスター弾の使用に対する国際的な批判が影響しているとみられます。
アメリカは、ロシアの侵攻に対抗するウクライナを支援するため、今年3月に4億ドル(約540億円)規模の追加軍事支援を発表しました1。その中には、砲弾や弾薬などの弾薬不足を補うための物資も含まれていました。しかし、ウクライナ側の大砲の備蓄が危険なまでに少なくなっている可能性があると、米メディアは報じています2。これについてウクライナ軍はコメントしていません。
アメリカがウクライナに供与する砲弾の種類には、クラスター弾も含まれています。クラスター弾は、1つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散る兵器で、殺傷力が高く、不発として残った一部が民間人に危害を及ぼす危険があることから、100カ国以上で使用が禁止されています3。アメリカは、ウクライナが今夏の反転攻勢で弾薬不足状態だと訴えたことを受け、クラスター弾の供与を決定しました3。ジョー・バイデン米大統領はクラスター弾供与の決定を「非常に難しい」と表現しました3。同盟国のイギリス、カナダ、ニュージーランド、スペインは、クラスター弾の使用に反対しました3。
しかし、アメリカ政府は、クラスター弾がロシアの防衛拠点や作戦に対して「効果的に」使われていることが、ウクライナ側からの初期の報告からうかがえると述べました4。ウクライナはクラスター弾について、ロシア兵の集中を解く目的に限って使うと約束しています4。ロシアはウクライナへの本格侵攻を昨年開始して以来、同じようなクラスター弾を使っており、民間人が暮らす地域でも使用しています3。
アメリカがウクライナに供与する砲弾の量が減ることによって、ウクライナの戦闘能力にどのような影響が出るのかは、まだ分かりません。アメリカは、ウクライナに長距離ミサイルや対空ミサイルなどの他の兵器の供与も検討していると報じられています。アメリカとウクライナの両政府は、ロシアの侵攻を阻止するために、協力を強化していくと表明しています。