日本銀行の12月会合における植田和男総裁と松本正副総裁の発言が、マイナス金利政策の解除観測を再燃させています。植田総裁は、賃金上昇と物価上昇の持続が確信できれば、「マイナス金利政策」の解除を含むさまざまな選択肢があると述べ、年内にも判断の材料が出揃う可能性を示唆しました。
総裁は、短期金利のマイナス0.1%解除について、「経済・物価情勢が上振れした場合、いくつかの手段が取れる」と説明。さらに、解除後も物価目標の達成が可能ならば解除する考えを示しましたが、具体的な時期については植田氏は「到底決め打ちできる段階ではない」と述べました。
一方で、日銀は7月に「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の上限を1.0%に引き上げ、植田氏はこれを「リスクマネジメント」と表現。長期金利の現状についても「経済・物価情勢に合わせて上昇することに理解を示したものの、「厳格にコントロールするつもりはない」と明言しました。
同時に、最近の円安進行に対しては「政府と連絡を取りつつ、経済・物価への影響を評価する」と述べ、市場では注目を集めています。
松本副総裁もまた、マイナス金利政策解除について、「物価目標の実現に向けて確信が持てれば、選択肢の一つになる」と述べました。金融緩和の効果を肯定する一方で、「金融機関の収益性への影響は否定できない」とも認識。長期金利の上昇には歓迎の意を示しましたが、「過度な上昇は金融緩和の効果を損なう」とも警告しました。
最近の円安については、「為替相場は経済・物価に影響を与える重要な要因だ」と指摘し、「為替レートの変動が物価にどの程度波及するかは、時代や状況によって異なる」と述べました。
市場では、これらの発言を受けてマイナス金利解除の可能性が再び浮上し、注視が続いています。