ビットコインETF、プロが切望する理由
ビットコイン(BTC)が徐々に、そして突然に、メインストリームになりつつある。ブラックロック(BlackRock)やフィデリティ(Fidelity)のような世界最大規模の資産運用会社がアメリカでビットコインETF(上場投資信託)をスタートさせるための準備を整えている。
グレイスケール・ビットコイン・トラスト(Grayscale Bitcoin Trust)のNAV(純資産価値)に対するディスカウント率が劇的に縮小していることから、市場では米証券取引委員会(SEC)がビットコインETFを承認する確率を90%程度と見ている。
しかし、先物ベースのビットコインETFがすでに存在するにもかかわらず、そもそもなぜ現物ベースのビットコインETFに対してこれほど大きなニーズがあるのだろうか?
先物ETFの欠点
まず、ビットコイン先物ETFには、現物ベースのETFと比較して多くの欠点がある、その中には、ビットコイン先物カーブが急激なコンタンゴを示した場合、年間パフォーマンスの30%ポイント(!)を消し去ってしまう高いロールコストも含まれる。
分かりやすく言うと、ビットコイン先物の価格が現在のスポット価格より大幅に高い場合、ビットコイン先物投資家はパフォーマンスの大部分を放棄することになる。
したがって、先物ベースの商品に投資した場合、ビットコインを保有することによるパフォーマンスの恩恵をフルに享受することはできない。
ポートフォリオの広がり
現物ベースのETFは、ビットコインや他の暗号資産(仮想通貨)への投資アクセスを広げることで、これまで不可能であった潜在的なポートフォリオ配分のまったく新しい世界を切り開くことができる。
ポートフォリオマネジャーの専門用語で言えば、ビットコインへの投資は、マルチアセットポートフォリオのいわゆる「効率的フロンティア」を大幅に拡大する。
例えば、1つの点はX%を株式、Y%を債券、残りをビットコインに投資するポートフォリオを表す。
ポートフォリオマネージャーは、可能な限り低いリスクで可能な限り高いリターンを得るため、そのフロンティアの端にいることを望む。効率的フロンティアは、さまざまな資産クラスのウエイトを変化させた上で、リスク・リターンチャートに示されるすべての潜在的ポートフォリオを表している。
したがって古典的な60/40の株式・債券のマルチアセットポートフォリオにビットコインを含めることによって、ポートフォリオのドローダウンがわずかに増加するだけで、リスク調整後リターン(「シャープ・レシオ」)が大幅に増加するのは驚くべきことではない。
暗号資産に大きな影響
現物ベースのビットコインETFが最終的にいつ承認されるかはまだわからないが、2024年1月に一括承認される可能性が高いというのが大方の予想だ。
ビットコインETFの発行予定者たちは、推定される資産運用残高が約16兆ドル(約2400兆円、1ドル150円換算)と相当な額であり、暗号資産に大きな影響を与える可能性がある。
そのうちのわずかな割合がビットコインに投資されるだけでも、その影響は非常に大きなものになる可能性が高い。現在、ビットコイン上場商品は、我々の計算(グレイスケールのトラストを含む)では、388億ドルに過ぎない。
しかし、この資金は一夜にして投資されるわけではない。投資家が従来の資産配分の一部をビットコインに置き換え始めるまでには、おそらく何カ月もかかるだろう。
徐々に、そして突然に、とはよく言われるとおりだ。