こんにちは、このブログでは米国株式市場の動向や見通しについてお伝えしています。今回は、2023年の米国株式市場の振り返りと、2024年の展望についてお話ししたいと思います。
2023年の米国株式市場の動向
2023年の米国株式市場は、利上げや銀行の破綻など様々な出来事がありましたが、全体としては好調な一年でした。特にハイテク株が牽引役となり、ナスダック100指数は1999年以来の高い伸び率を記録しました。S&P500種株価指数も年初来では約24%の値上がりと、堅調なパフォーマンスを示しました。
2023年の米国株式市場の好調さの背景には、米金融政策のハト派転換が大きく影響しています。2022年に始まった利上げサイクルは、2023年の前半にピークアウトし、後半には利下げへの期待が高まりました。特に12月に行われたFRBの政策決定会合では、パウエル議長が早期の利下げに関する議論は「時期尚早」としながらも、金融引き締めのペースを緩やかにすることを示唆しました。これにより、市場は2024年に利下げが実施されるとの見方を強めました。
利下げへの期待は、株式市場だけでなく、債券市場にも好影響を与えました。ここ2カ月は、株・債券がいずれも値上がりするという珍しい相場展開となりました。これは、利下げによって景気がソフトランディングに至るというシナリオが市場で支持されていることを示しています。
しかし、市場の楽観は過度になっているとの見方もあります。サマーズ元米財務長官は、市場で米金融緩和への期待が急速に高まる中、投資家はインフレのリスクを恐らく過小評価しているとの見方を表明しました。また、RBCグローバル・アセット・マネジメントも、株式相場はあまりに急ピッチで上昇してきたため、米経済がリセッションに陥る場合はそれが緩やかなものであっても、下落する展開になりやすいと指摘しました。
市場の不安が欠如していることは、恐怖指数として知られるCBOEのボラティリティー指数(VIX)にも表れています。VIXは今週13を下回ったままで、これは新型コロナウイルス流行前の最低水準に近く、5年平均を大きく下回っています。これは、投資家によるある種の油断か、高揚感すら示唆しているかもしれません。
一方で、市場の強気なセンチメントは、株価の上値をけん引する要因にもなっています。パイパー・サンドラーのクレイグ・ジョンソン氏は、「買われ過ぎの懸念はくすぶっている」としながらも、「時間とともに値固めが進めば、買われ過ぎの状態を緩和する一助となる。投資家は現状維持の姿勢で新年を迎える見通しで、下げは緩やかにとどまると予想」と述べました。
2024年の展望
2024年の米国株式市場の展望については、市場関係者の見方は慎重なものが多いようです。S&P500種株価指数の2024年末の株価予想のコンセンサス(平均値)は4,546ポイントと、概ね現状の株価水準から横ばいでの推移が見込まれています。市場関係者の間では強気派と弱気派の見方が混在しており、依然として米国の株式相場の方向感は定まっていない模様です。
しかし、2023年も市場関係者の当初の株価見通しは弱気な見方が優勢でした。2023年前半には景気後退への懸念などから低調な株価見通しが続いたものの、2023年後半に入ると米国景気の軟着陸観測の浮上などから先行きの株価見通しが上方修正される展開となりました。
今後、利下げに向けた金融政策の転換が緩やかに進み、米国景気の回復期待が高まる過程で、相場の先行きをめぐる投資家心理が改善する可能性もあると考えられます。
【注目ポイント】
– 2023年は利上げピークアウトと利下げ期待で好調な株式市場。
– 楽観的な市場には懸念の声も。インフレリスクに警戒。
– ボラティリティー指数(VIX)の低水準は市場の油断を示唆。
– 2024年の展望は慎重な見方が多く、株価の横ばいが予想される。
以上が2023年の米国株式市場の振り返りと、2024年の展望についてのまとめです。新しい年が始まり、市場の動向には引き続き注目が集まります。今後の展開にも注視していきましょう。
まず、米国債ですが、指標となる10年債利回りは年間を通して大きく変動しました。3月には銀行危機の影響で3.25%まで急落しましたが、その後は景気の底堅さや米金融当局の利上げ継続などで5%を超える水準まで上昇しました。しかし、年末にかけては景気減速や利下げ観測などで再び下落し、年初とほぼ同じ水準で終えました。ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのマッキンタイア氏は、長期国債の投資家にとっては厳しい一年だったと指摘し、来年も不安定な展開になると予想しています12。
次に、為替ですが、ドルは主要通貨に対してまちまちな動きを見せました。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は年間で約2.7%下落し、新型コロナウイルスの流行でドル高が進んだ2020年以来のマイナス圏で終えました。ドル円は年間で約3%下落し、3年連続の円高となりました。ドルの下落要因としては、米国のインフレ鈍化や労働市場の冷え込み、金融当局の政策転換などが挙げられます。一方、円は日米の金利差の縮小や地政学的な不確実性などで買い支えられました。キャリー好調後は円が急反転か、通貨ファンドがバリュー戦略に転じるとの見方もあります3456。
続いて、原油ですが、ニューヨーク原油相場は年間で約9%下落し、2020年以来の大幅な下げとなりました。原油価格にとっては波乱の一年でした。イスラエルとハマスの戦争や、米利上げの終了などで価格が上昇する局面もありましたが、OPECプラスの減産効果が限定的で、非OPEC産油国の増産や需要減速の懸念などで価格が下落しました。エナジー・アスペクツのセン氏は、原油市場は極めて不安定で、在庫減少が信頼感の回復に必要だと分析しています78。
最後に、金ですが、金スポット相場は年間で約13%上昇し、3年ぶりの高い水準で終えました。金は金利と逆相関にあるため、金融当局が景気抑制的な政策スタンスを緩和するとの見方が強まったことが金高の要因となりました。また、中銀による記録的な金買いや、地政学的な不確実性なども金の支援要因となりました。金は米国債の実質利回りに対するプレミアムが歴史的に高い水準にあることから、今後も上昇余地があるとの見方もあります。