香港警察が周庭氏の逮捕に動く カナダ亡命の民主活動家
香港の民主活動家でカナダに亡命した周庭氏が、香港警察に出頭しなかったことで、逮捕の危機に直面しています。周氏は国家安全維持法(国安法)違反の容疑で捜査されており、保釈中に定期的に警察に出頭することが義務付けられていましたが、3日にカナダで香港に戻らないと宣言しました。香港警察は29日、読売新聞に対し、周氏の逮捕に向けた手続きを行うと述べました。周氏は今後、指名手配される可能性が高いと見られています。
周氏は、香港の民主化運動の象徴的な存在で、2014年の雨傘運動や2019年の反送中運動に参加しました。周氏は2019年に国際民主主義賞を受賞し、2020年にはタイム誌の世界で最も影響力のある100人に選ばれました。しかし、同年6月に施行された国安法により、周氏は反政府活動や外国勢力との共謀などの罪で起訴されました。周氏は保釈金を支払って保釈されましたが、海外渡航やSNSの使用などが禁止されました。
周氏は、カナダに亡命した理由について、「香港の自由と民主主義を守るためには、海外からの支援が必要だと感じたから」と語りました。周氏はカナダで政治学を学び、香港の状況について世界に発信し続けています。周氏は、香港の人々に対して、「私たちは一緒に戦っています。私たちは一人ではありません」とメッセージを送りました。
周氏と同じく、国安法違反で有罪判決を受けた学生団体元代表の鍾翰林氏も、英国に亡命を申請しました。鍾氏は28日にSNSでその旨を公表しました。鍾氏は、6月に6ヶ月の刑期を終えて釈放された後、英国に渡航しました。鍾氏は、英国で香港の民主化運動を支援する団体を立ち上げる予定だと述べました。
香港警察は、周氏や鍾氏などの亡命者に対して、「出頭しない限り、生涯追及される」と警告しています。しかし、亡命者たちは、香港に戻ることは自由や命の危険にさらされることだと考えています。香港の民主化運動は、国安法のもとで厳しく抑圧されていますが、亡命者たちは、海外から香港の人々の声を届ける役割を果たそうとしています。