堂安、エゴの光輝 ― 日本代表、攻撃のリーダーシップを示す
前半の日本代表は苦戦しました。ピッチに立った代表経験が少ない9人の選手たちが、格下の相手に対してパスのずれが目立ち、攻撃のリズムが構築できませんでした。無得点で終わった前半の試合において、堂安はベンチからその場にいながらも、何かが欠けていることを感じていました。「うまいシーンはたくさんあるんですけど……。最後の『エゴ』というか、わがままさが欠けているな、と」。
そこで、後半開始から森保監督は堂安をピッチに送り込み、「一気にギアを上げてほしい」という指示を出しました。ワールドカップ(W杯)カタール大会でも活躍し、背番号10をつける25歳の堂安は、小気味よくパスを受け、攻撃を活性化させる存在となりました。後半6分の先制点は、彼がボールを受けて右サイドに展開し、生まれました。彼は起点だけでなく、パスを出した後にペナルティーエリア内まで猛然と走り込む特徴的なプレースタイルで、シンプルながら効果的な攻撃を構築しました。
常に走り込みながらも、パスを巧みにさばき、シュートを打てる位置に常に位置する堂安によって、攻撃の厚みが増しました。森保監督は、「流れをつかみとるプレーをしてくれた」と絶賛しました。彼の活躍は、5点中4点にからむものであり、そのプレーから格の違いを見せつけたのです。
この日はアジアカップにおいて欠場していた久保も加わり、攻撃的なポジション争いが激化しました。しかし、大舞台での勝負強さやチームを牽引する力は、代表に欠かせないものとなっています。「日本はアジアの頂点に常にいなければいけない。プレーで引っ張っていきたい」と語るように、堂安は中心選手としての自覚をにじませ、チームに新たなエネルギーをもたらしています。(照屋健)