米英軍が11日、イエメンの親イラン武装組織であるフーシ派の軍事拠点に対する空爆を実施し、中東での緊張が拡大している。これに対応する形で、国連安全保障理事会は12日に中東情勢に関する緊急会合を開くことを決定した。
フーシ派の指導者であるムハンマド・アリ・アル・フーシ氏は、米英の空爆に対するフーシ派の対応が迫っていると述べ、燃料タンカー大手のトームも紅海南部の航行を見合わせると発表した。これにより、約80隻の船舶が停船することになる。
原油相場も12日に急騰し、北海ブレント原油は80ドルを超える価格を記録した。紅海での商船への攻撃への懸念が高まり、業界団体は全ての商船に対し、紛争地域に近づかないように勧告している。
フーシ派によれば、攻撃で5人が死亡し、6人が負傷したと報告されている。一方で、米国のバイデン大統領は攻撃が成功したと発表し、「軍関係者への攻撃や世界有数の重要商業航路での航行の自由を敵対勢力が脅かすことは許さない」と強調した。
さらに、オーストラリア、バーレーン、カナダ、オランダなど複数の国々も作戦の支援に加わり、緊張緩和と紅海の安定回復が目的であると共同声明で述べている。
米国防総省当局者によると、攻撃ではイエメンのフーシ派支配地域にあるレーダー施設やミサイル発射装置、貯蔵施設などが攻撃対象となり、巡航ミサイル「トマホーク」が使用されたとされている。フーシ派の指導者は、米国の武力行使に対抗する姿勢を示し、「米国のいかなる攻撃も罰を免れない」と警告している。中東情勢の進展に注目が集まる中、各国は状況の収拾を求めている。