仮想通貨市場における最新の展開として、ビットコイン（BTC）ETFの承認が待望されています。しかし、この進展には一つの懸念がついて回ります。フィデリティ（Fidelity）やヴァンエック（VanEck）を含むごくわずかな例外を除いて、ほとんどのビットコインETFの申請者が、カストディアンとしてCoinbaseを選択していることです。
リスクの一極集中
これにより生じるリスクは非常に重要で、ブロックチェーンに特化したサイバーセキュリティ企業としての視点から見ると、これは仮想通貨カストディ業務の本質的な高いリスクと、セキュリティのベストプラクティスがまだ十分に発展していないことからくるものです。
心配すべきはCoinbaseそのものではなく、これまで一度もハッキングされたことがなく、多くの伝統的金融機関がそのノウハウを信頼している点です。しかし、ハッキング不可能なシステムは存在しないため、いかなる対象も時間とリソースがあればハッキングされる可能性があります。
リスクの具体例
このリスクの具体例として、ビットコインは現金や金と同じく無記名商品であるため、ハッキングが発生すれば資産が消失する可能性があります。暗号資産犯罪勢力も手強く、北朝鮮のラザルス（Lazarus）グループやロシアのCozy Bear/APT29グループが数十億ドル相当の資産を盗む能力を持っています。
ビットコインETFの承認に伴い、これに流入する資金は60億ドルを超えると予測されており、これはサイバー攻撃の標的となります。このような規模の資産を単一のカストディアンに委ねることは、投資家と業界全体にとって潜在的な悲劇を引き起こす可能性があります。
サイバーセキュリティ基準の改善が急務
現在のサイバーセキュリティ基準は、信託や銀行ライセンスに基づくものであり、金融規制当局は主に伝統的な銀行業務に焦点を当てています。しかしこれでは不十分であり、暗号資産カストディアンにとって重要な監視と冗長性の提供が必要です。
従業員数が限られた組織が数百億ドル相当の資産を保護するためには、冗長性と専門性が不可欠です。サイバーセキュリティ基準の改善と、規制当局による適格カストディアンの監視が急務となっています。
結論
ビットコインETFの承認は仮想通貨の金融システムへの統合を進める一方で、この新たな展開に伴うリスクを明確に認識し、十分なセキュリティ対策が求められます。投資家と規制当局は、サイバーセキュリティの向上と冗長性の確保に真剣に取り組むべきです。
