イーロン・マスク氏が「疾病Ｘ」と響きそうな言葉として紹介されたが、実はこれは未知の感染症に備えていくために作られたものである。新型コロナウイルス感染症（COVID-19）を含む未知の病原体が引き起こす疾病に対処するため、ワクチンや治療薬、検査技術などの基盤技術の開発を促進するために、疾病Ｘが重要視されている。
疾病Ｘとは？
現在は知られていないが、深刻な脅威となる可能性のある未知の病原体が引き起こす疾病を指す。世界保健機関（WHO）が2017年に最優先の研究対象としてリストに加え、これには既知の病原体も含まれる。これに対処するため、国際的な議論や研究が進められている。
疾病Ｘの研究の必要性
WHOによれば、「横断的な研究開発上の早期準備を可能にするため」に疾病Ｘの研究が進められている。特に、過去に起きたエボラ出血熱流行が、危機発生時に有効な製品がなく多くの犠牲者が出たことを考慮し、対策の強化が図られている。
次なるパンデミックに備える研究状況
疾病Ｘに備えて行われた研究の成果として、COVID-19のワクチンがわずか326日で認可されるなど、迅速な対応が可能になった。現在では、感染症流行対策イノベーション連合（CEPI）などが100日以内のワクチン開発を目指すなど、国際的な連携が進んでいる。
記事では他にも、国際保健規則の改正、新たな国際協定の策定、パンデミック基金の設立、パンデミックやエピデミックの情報収集拠点の構築など、疾病対策に向けた取り組みが進んでいることが紹介されている。しかし、保健システムの弱体化や反ワクチン運動、感染症対策予算の優先度低下など、課題も依然として残されている。
