シェアオフィスの巨人、ウィーワークが
2023年11月6日、米連邦破産法11条の適用を申請しました。
この申請は、新型コロナウイルスの感染拡大によりオフィス需要が減少し、
高額なリース料金と法人顧客の解約に直面した結果です。
ウィーワークの総負債額は約100億ドルから500億ドル
(約1.5兆円から7.5兆円)に達すると言われています。
ウィーワークには、日本のソフトバンクグループが出資しており、
ソフトバンクグループはウィーワークの約60%を保有しています。
ソフトバンクグループは、ウィーワークの再建を支援するために
多額の投資を行ってきました。
しかし、ウィーワークの破産申請により、ソフトバンクグループの
投資はどうなるのでしょうか?
現時点でソフトバンクグループは、ウィーワークの破産申請について
コメントを発表していません。
しかし、破産申請によって、ウィーワークはリース契約を再交渉する機会を
持つことになります。
これは、ウィーワークの最も高額な費用であるリース料金を削減する
可能性を示唆しています。
実際、ウィーワークの2023年第2四半期の売上高の74%がリース料金に
充てられていたと報じられています。
一方、ソフトバンクグループは、
ウィーワークの株式価値が大幅に減少する可能性があることにも
注意が必要です。
ウィーワークは2021年10月にニューヨーク証券取引所に上場し、
その際の企業価値は約90億ドル(約1.3兆円)でした。
これは、ウィーワークが最も成功した時期に評価された約470億ドル
(約7兆円)の約5分の1に過ぎません。
破産申請により、ウィーワークの株価がさらに下落する
可能性が高まっています。
ソフトバンクグループは、ウィーワークへの約180億ドル(約2.7兆円)の
投資を行っており、
そのうち約90億ドル(約1.3兆円)は株式の取得に充てられています。
ウィーワークの株価がゼロになった場合でも、ソフトバンクグループは
残りの90億ドル(約1.3兆円)の投資を回収できる可能性があります。
しかし、それでも、ソフトバンクグループは
ウィーワークに関連する大きな損失を被る可能性が高いでしょう。
ウィーワークは、創業者のアダム・ニューマン氏の指導のもとで
急成長し、最も成功したベンチャー企業の1つとされてきました。
しかし、利益を度外視した急速な事業拡大や異例の行動により、
ニューマン氏は退任を余儀なくされ、
2019年に新規株式公開(IPO)を断念しました。
その後、ソフトバンクグループの支援を受けて再建を試みましたが、
コロナ禍によるリモートワークの普及でオフィス需要が低迷しました。
ウィーワークの破産申請は、
シェアオフィス業界の将来にも影響を及ぼす可能性があります。