「中国化への懸念も?」中国人富裕層に向けた“10年ビザ”新設で賛否両論
政府が中国人観光客向けのビザ要件を大幅に緩和すると発表し、経済効果への期待と観光公害への懸念が交錯している。岩屋毅外務大臣は、25日に北京での王毅外相との会談後、新たなビザ政策を表明。これにより団体観光客向けのビザの滞在期間は最長15日から30日に延長され、富裕層向けには最長10年間の複数回渡航可能なビザが新設される。
訪日需要の拡大に期待
観光業界からは歓迎の声が上がる一方、地元住民からはマナー違反や地域の「中国化」への懸念も。一方、中国人観光客の間では、新たなビザがさらなる観光の可能性を広げるとして好意的に受け止められている。
中国人観光客の声
- 「次回は大阪や名古屋にも行きたいです。10年ビザはとても良い制度ですね。」
- 「日中友好の架け橋になります。よく訪れるので、次回はぜひ切り替えます。」
インバウンドの増加と課題
外務省の発表によると、2024年の訪日外国人観光客数は11月までに3300万人を超え、過去最高だった2019年をすでに上回った。ただし、中国人観光客数は2019年と比べてまだ300万人以上少ない状態であり、ビザ緩和によりさらなる増加が期待される。
一方、増加する観光客に対応するための受け入れ態勢の整備も急務となっている。札幌国際大学の和田早代教授は、「オーバーツーリズムへの対策として、料金設定や税金、地域住民を守るための法整備が必要」と指摘する。
観光公害への懸念
現在、日本各地では観光客によるマナー問題や混雑の影響が深刻化している。例えば、富士山を背景にした危険な横断や、アニメの舞台となった場所での違法撮影などが問題視されている。これらの課題を解決するためには、国や自治体による法整備や企業への支援が不可欠だ。
和田教授の提言
「観光業を担う企業やホテルが安心して対応できるよう、国や自治体がサポート体制を整えるべきです。」
中国側の対応
今回の緩和措置は、中国が日本人向け短期ビザの免除を再開したことに応える形で実施された。今後、訪日需要のさらなる拡大と共に、地域社会との共存を図る取り組みが求められている。